世界の誕生

「世界五分前仮説」の間違いは証明できない。では、正しいのか?|議論の方法

「世界は五分前に誕生した」。

そんなことを言い出すやつがいたら、(何言ってんだこいつ・・・)と思ってしまうでしょう。

世界がいつ誕生したのかについて、地球の年齢とか宇宙の年齢の科学的データから議論している最中だったら、馬鹿馬鹿しくて相手にしたくなくなるはずです。

ところが。

ところがですよ?

こんな仮説でも、間違っていることを証明しようとすると、できないのです。

■「世界五分前仮説」とは

世界の誕生

 

世界五分前仮説では、世界は「まるで五分よりも前から存在していたかのような姿で」五分前に誕生したことになっています。

織田信長やユリウス・カエサルの資料も、ナポレオンやフリードリヒ大王の記録も、昨日食べたご飯の記憶も、亡くしたペットとの思い出も恋愛の対象も、すべて五分前に作られたのです。

そんなバカなとは言いたくなりますが、困ったことに、そう考えても辻褄は合います。

■「世界六分前仮説」とは

では、世界六分前仮説ならば間違いが証明できるでしょうか?

理屈は一緒です。「まるで六分よりも前から存在していたかのような姿で」六分前に誕生したと考えても、辻褄は合います。

5.1分前とか5.11分前仮説でも事情は変わりません。そして、5から6の間には無限の実数が存在します。

ということは、数字の部分だけを変えた仮説を無限に作れることになります。もちろん、5から0の間にも無限の実数がありますし、6以上の数にも、無限の実数を作れます。

ということはです、もし仮に「間違いを証明できないなら、その考え方は正しい」という考え方を認めてしまうと、「世界がいつ誕生したのかという答えは、無限にある」ということを認めなければならなくなります。

「君の誕生日はいつ?」と聞いてみたら、「毎日だよ」と答えられたようなものです。意味不明です。

といったわけでありまして、「俺様の間違いを証明できないなら、俺様は正しいんだ」という論法に遭遇したときは、「間違いが証明できないことは、正しいことの証明にはならない」という指摘をしてあげてください。

その考え方だと、世界五分前仮説を信じなければならなくなるよ、とね。

■自己矛盾を引き出すこと

議論を制する理想的な方法は、相手の主張を矛盾させることです。我々は普通、矛盾した主張は間違っているという意識を持ちます。この意識を持たない人とは、議論なんて高度な話し合いはしない方がよいでしょう。

お互いの意見をぶつけ合うだけでは平行線で終わるかもしれませんが、相手の矛盾を証明できれば、相手は主張を取り下げざるを得ません。

今回のように、「あなたの主張が正しいとすると、あなたはこういう主張も正しいと認めなければならなくなりますが、それでいいですか?」というのは、相手を矛盾させる基本です。

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